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会場内で発生した使用済紙おむつの回収からリサイクルまでの実証実験を実施!

会場内で発生した使用済紙おむつの回収からリサイクルまでの実証実験を実施!

2025.08.25 現地レポート

■高齢化で増える「紙おむつごみ」——リサイクルが急務に

高齢化が進む日本では、使い終わった紙おむつの量も年々増えています。環境省の推計によると、紙おむつが一般ごみ全体に占める割合は、2020年度の5.2~5.4%から、2030年には6.6~7.1%ほどに増える見込みです(※環境省「使用済紙おむつの再利用等の促進プロジェクト検討結果とりまとめ(令和5年)」より)。
今のところ、こうした紙おむつのほとんどは焼却処理されていますが、焼却はCO₂排出などの課題もあり、決して持続可能な方法とは言えません。そこで注目されているのが「リサイクル」。2020年には環境省が「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」をまとめ、自治体や企業によるリサイクルの取り組みが加速しています。

■TOPPANが取り組む“完結型リサイクル”

こうした状況を受けて、TOPPANも紙おむつのリサイクルに取り組んでいます。TOPPANは、DX(デジタルトランスフォーメーション)とSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の両輪で社会課題の解決を目指す「社会的価値創造企業」として、2020年には「TOPPAN Business Action for SDGs」を策定。企業活動を通じて持続可能な社会づくりを進めてきました。
その中で、【安全安心で豊かなまちづくり】を重要テーマの一つに掲げ、トータルケア・システムや住友重機械エンバイロメントと連携し、使用済紙おむつの「完結型マテリアルリサイクルシステム」の構築を目指しています。
これは、紙おむつに含まれるすべての資源を分別・再生し、もう一度素材として活用できるようにする仕組み。単なる廃棄ではなく、“資源として循環させる”ことを前提にした新しいモデルです。
社会全体での導入に向けた動きも始まっており、今後、紙おむつリサイクルの取り組みがより一層広がっていくことが期待されます。

■万博で紙おむつリサイクルの実証実験を実施!

TOPPANは、使用済紙おむつのリサイクルに向けた新たなチャレンジとして、2025年大阪・関西万博の期間中に実証実験を行っています。今回は、紙おむつの回収から保管までのプロセスに、環境配慮や利便性を重視した新しい取り組みを取り入れています。

・見て、触れて、楽しく回収「PoyPort®︎」
紙おむつを回収するためのボックスには、ただの“ゴミ箱”ではない、ちょっと未来感のある仕掛けがあります。その一つが、TOPPANのインタラクティブゴミ箱「PoyPort®︎」。サイネージ付きで、環境に関する啓発映像を流しながら、来場者にリサイクルの大切さを伝える設計になっています。
しかもこの回収ボックス、実は過去に回収された紙おむつからリサイクルされたプラスチック素材を使って作られているんです!「捨てる→資源になる→また回収に使われる」という、まさに循環型社会のミニモデルです。
ボックスのデザインも、思わず足を止めたくなるような目を引くビジュアルで、利用を促進します。

「PoyPort®︎」で流れる啓発映像


・保管も自社商品でニオイ対策!
 使用済のおむつを回収するとなると、どうしても気になるのがニオイ。TOPPANはこの問題にも対策を講じています。一次保管時には、【バリア性能に優れた「GL BARRIER」】というTOPPAN製のバリアフィルムを使った袋で密閉。酸素や水蒸気をしっかりブロックするので、臭気の広がりを防ぎ、衛生的に管理することができます。

「GL BARRIER」を使った袋


・実証実験の期間は?
実証期間:2025年4月13日(日)~2026年3月31日(火)
回収期間:2025年4月13日(日)~2025年8月上旬
期間中、万博来場者の協力のもと、回収とリサイクルの仕組みを実地で検証していきます。
なお、実証実験としての回収期間が終了した後も、回収ボックスは引き続き設置される予定です。

■その先の未来へ――TOPPANの目指すもの

TOPPANは、この実証実験を起点に、自治体やリサイクル事業者、おむつメーカーなどと連携し、使用済紙おむつの回収・リサイクルスキームの高度化に取り組んでいきます。
具体的には:
・リサイクル設備の導入
・運用支援アップサイクル製品や素材の普及
・販売支援自治体・企業向けの導入支援やコンサルティング
などを通じて、【サーキュラーエコノミー(循環型経済)】の実現を目指します。

■アップサイクル品を“寄付”して、認知を広げる取り組みも!

回収・リサイクルした紙おむつは、ただ再資源化するだけではありません。TOPPANは、保育園や病院といった、紙おむつを多く使う現場に向けて、アップサイクル品を寄付する取り組みも行います。
寄付されるアイテムは、実証実験で製造された
遊具
シェルフ(収納棚)
回収ボックス
などを想定。これらはすべて、使用済紙おむつから再生された素材でつくられたものです。
こうしたアップサイクル品が実際の生活の場で使われることで、紙おむつのリサイクルが“身近な取り組み”として広がっていくことを目指しています。

回収ボックス
回収された使用済紙おむつ
回収された使用済紙おむつ
リサイクル工場納品の様子

■回収ボックスと設置場所

回収ボックスの設置場所は、おむつ交換室など、紙おむつの使用機会が多い場所を中心に11か所。来場者が気軽に使用済紙おむつを投函できるよう、わかりやすく目立つデザインを採用。サイネージ付きの「PoyPort®︎」なども活用し、楽しみながら環境意識を高められる工夫が随所にちりばめられています。

設置場所

■リサイクルについて

実証実験で集められた紙おむつは、2025年9月ごろから順次リサイクル処理を開始する予定です。どのような製品や素材に生まれ変わるのか、結果についてもこのレポートでお知らせする予定です。
「捨てる」が「活かす」に変わる、その瞬間をどうぞお楽しみに!

【お問い合わせ】

TOPPAN株式会社 博覧会・IR推進室 チームエキスポ共創事務局
teamexpo_partner@toppan.co.jp

【EXPOホンヤクの問い合わせ先】

EXPOホンヤク事務局
info@expo-honyaku.net

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