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「Zero Gravity Art」─無重力をアートで感じる、新たな感性の旅へ

「Zero Gravity Art」─無重力をアートで感じる、新たな感性の旅へ

2025.08.20 現地レポート

大阪・関西万博の未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・フューチャーライフエクスペリエンス」で、メディアアート作品「Zero Gravity Art」を体験してきました!この出展は、京都大学防災研究所アートイノベーション産学共同研究部門の土佐尚子教授が率いるNTアソシエイツ、島津製作所、TOPPANホールディングスの3者によるコンソーシアムが手掛けたものです。

コンセプトは「無重力」──水中から羊水へ

無重力空間である宇宙へと人類が旅立つ未来が近づきつつある中、無重力空間に近いとされる水中環境、さらには生命の起源でもある羊水の中にいる感覚を、身体で擬似体験できるメディアアートです。
 作品名と同じく「Zero Gravity Art」と名づけられたこの装置では、来場者が音・映像・空間の中に身をゆだね、まるで浮遊しているかのような体験ができます。

音と映像と空間による唯一無二の体験

体験者は光脳機能イメージング装置(NIRS)とヘッドホンを装着し、全面をミラーディスプレイで覆われたカプセルの中に入ります。

ミラーディスプレイに囲まれた体験用のカプセル

空間内は鏡による無限反射によって、奥行きと広がりを錯覚させる構造になっており、映像と相まって浮遊感や没入感が強く感じられました。
映像に合わせて流れるのは、多くの人から収録された産声や心音。それらが重層的に空間を包み込み、視覚・聴覚・身体感覚を通して、これまでにないアート体験となっていました。

無重力下で制作された映像表現

映像には、実際に飛行機の急降下により生み出された無重力状態の中で撮影された素材も使用されているとのこと。CGでは再現しきれない、無重力ならではの液体素材の滑らかな動きなど、リアリティと不思議さが共存する表現が特徴的でした。

右上の白い部分は撮影者の顔をぼかしております。

アート体験×脳活動の可視化

体験終了後には、脳活動の計測結果を確認することができます。
 筆者の場合は主に左脳が活発に働いていたとの結果が出ました。実際、体験中は「どういう仕組みでこの空間が構成されているのか」「どのような技術が使われているのか」などを考えていたため、その思考傾向がまさにそのまま脳活動に表れていたようです。

赤くなっている部分が、脳が活発に動いている部分です。

人によっては活発になる範囲や場所が全然異なるとのことで、自分がアートをどのように受け止めているのかを“可視化”できるという点も、他では得がたい体験だと感じました。

TOPPANの技術が他にも

ブース内では、他にもTOPPANの技術が展示されていました。

ブース全体の様子

壁面には特殊な印刷技術と化粧シートで実現した「ダブルビュー」が活用され、空間の装飾の雰囲気を崩さない映像サイネージが設置されていました「ダブルビュー」が活用され、空間の装飾の雰囲気を崩さずに、映像サイネージが設置されていました。また、TOPPANのバーチャルリアリティー技術を活用し、アーティスト土佐尚子氏のアート空間をVRゴーグルで体験できる「Tosa Art Museum」も見ることができました。

現地で体験するには

こちらのブースでは整理券を配布しておりますので、当日ブースにて早めに整理券を確保することをおすすめします。

最後に開発に携わった皆様より一言をいただきました!

京都大学防災研究所特定教授 土佐尚子氏より
私は現代の最先端技術でしか可視化できない映像アート体験、特に無意識と意識の境目にあるような映像体験に関心があり、パラボリックフライトで無重力を体験し、その感覚を映像化しました。観客の皆さんには、それを追体験していただき、無意識に感じた映像体験を自分の血流の変化として見ていただきます。多くの方は、自意識で感じた映像体験と、血流で示された無意識に感じた映像体験が違うところが面白いところです。

株式会社NTアソシエイツ 代表取締役 中津良平氏より
鏡の効果によって無限に続く感覚を与える空間の中で土佐教授のアートを鑑賞すると、モティベーションや創造性が向上するという心理評価データが出ています。ぜひ皆様にも現地にて体験頂きたいと思います。 

株式会社島津製作所 基盤技術研究所 脳五感ユニット  務中達也氏より
光脳機能イメージング装置LIGHTNIRS(ライトニルス)を用いて脳活動を計測し、アートのどのシーンで脳が最も反応したのかを見ることができます。また、マルチデバイス生体計測システムHuME(ヒューム)を用いて、人間の創造性とアートの関係性を科学的に評価した共同研究成果の展示も行っていますので、合わせてご覧ください。

TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーション事業部 先端表現開発本部 平本和己氏より
「Tosa Art Museum」は土佐教授の独創的な作品群をVRで鑑賞できるバーチャル美術館です。VRゴーグルで体験すると、作品の中に入り込んだようなVRならではの体験ができますので、是非現地でもご体験ください。

“ただアートを鑑賞する時代”から、“アートの力を活用する時代”へ——。
 Zero Gravity Artは、アートとテクノロジー、そして人間の感覚と創造性が刺激される、まさに未来型の体験でした。ぜひ皆様も現地で体験してみてください!

【お問い合わせ】

TOPPAN株式会社 博覧会・IR推進室 チームエキスポ共創事務局
teamexpo_partner@toppan.co.jp

【EXPOホンヤクの問い合わせ先】

EXPOホンヤク事務局
info@expo-honyaku.net

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